うーん……。
あれ、珍しく難しい顔をしていますね。
どうしたんですか。
実は先月買い物しすぎてカードの支払いがキツくてさ。
分割とリボ、どっちが良いかなぁって思って考えてたんだよ。
……ふーん。朔太、お金持ちだったんだね。
え、ど、どういうこと……?
いや、高金利の借金を自分からするくらいお金あまってるんだなぁって。
ええ?!カードの話だよ?!借金じゃないよ!
ううん、それは絶対に借金。
しかも何も考えずに遊んた結果の高金利の借金。
渚サン厳しくないですか?!
どうやら朔太くんはまだまだ、お金に対する意識が甘いようですね。
そんな調子だと将来に響きそうなので、少しだけ金利というものについて考えてみましょうか。
知っておくべき金利の話
本日もお疲れ様です。
大人の皆さんは何かしらのクレジットカードを1枚くらいはお持ちですよね。
苦しい時に助けてくれるばかりではなく、使うだけでポイントがもらえて、貯まると金券等にも交換可能。まさに良いこと尽くめです。
お金をある程度自由にコントロールできる上にお得なこの魔法のカードは、社会人でしたら必ず持っておきたいお役立ちアイテムの一つかなと思います。
ただし自由にはいつだって責任が伴うものなんですね。
買ったものの支払いを肩代わりしてくれるだけでなく、さらには分割での返済まで認めてもらえている。こんなうまい話に罠が潜んでいないわけがないことを理解しておく必要があります。
なぜこのような支払い方が通用するのか。結論を先に申し上げますと、カード会社がその分の手数料をしっかりとあなたからも回収しているからなんです。
分割払いやリボ払いを利用するということは、カード会社に自分の代わりに商品代金をに支払ってもらって、あとでその代金に利息をつけてお返ししている状態……つまりこれは立派な借金です。
上手に利用するためには、支払方法ごとの金利差というものをしっかりと理解しておかなければなりません。
そんな急に借金の話をされても……なんなんですか?!
こんな風に思う方もいらっしゃいますよね。なぜ借金についてしっかりと理解をする必要があるのか端的に言うと、お金の扱いが雑な男性と付き合って結婚したいと思う女性はまずいないからです。
より良い相手と素敵な恋愛をするためにはお金に関する基礎知識は必須です。
本記事を読めば生涯に渡って無駄な手数料を支払わないための基礎中の基礎が身につけられるようになりますので、是非とも最後までお読みいただけると嬉しいです。
金利というものを意識できるようになるのが、マネーリテラシー向上への第一歩となります。
高いのか、安いのかだけでも分かると見え方が変わってくるので一度考えてみましょう。
カードの金利について
皆さんご存じの楽天カードの諸条件から金利について考えてみましょう。
楽天市場などの楽天サービスにおける支払いではポイント還元率がアップするので、楽天サービスをよく利用する方にとっては頼もしいカードです。カード発行のための審査が緩く、学生でも作りやすいことも有名ですよね。
今回は「50万円の買い物をした」と仮定したうえで、実際の数字に落とし込みながら解説していきます。
「カード会社ごとに手数料が違うから一概には参考にならないんじゃないの?」
こんな風に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、金利はどこの会社もおおよそ同水準なので、楽天カードの金利がそのまま自身の利用しているカードの金利と同じだと思っても差し支えないでしょう。
1回払い、2回払い、ボーナス1回払い
この支払方法は基本的に金利0%、手数料がかからないお得な支払い方法になります。
1回払いはともかく、2回払いやボーナス払い(1回)の場合でも手数料が無料というのご存じなかった方も多いのではないでしょうか。
「ボーナス払いってなに?」と言う方に簡単にご説明させていただきますと、世間一般でいうボーナス月っぽいタイミングまで支払いを先延ばしにしてくれる支払い方法です。
あくまでボーナス月っぽいタイミングになるだけなので、あなたのボーナスが支払われるまで待ってくれるわけではないのでその点だけご注意ください。(※ボーナスがない人でも使える支払い方法です)
なお楽天カードのボーナス払いの締め、支払いは下記の通りになります。
メモ
- 夏季:2月~6月末までの利用分。6~8月支払い
- 冬季:8月~11月末までの利用分。12~1月支払い
支払い月が分かれているのはカードの利用先店舗によって請求してくるタイミングが異なるからです。
ボーナス1回払いと言っても全てのボーナス払い選択分の請求がまとめてひと月にくるわけではなく、それぞれの利用先に対して1回で払うというイメージになります。
例に出すと「Amazonなら7月にまとめて請求、楽天なら8月」といったイメージですね。
大事なことなので再度お伝えしますがこの1回払い、2回払い、ボーナス1回払いの3つの支払い方法では手数料なし。どれを選択しても最終的な支払額は50万円です。
……みんなが1回払いとかしかしなかったらカード会社は儲からなくない?
このようなことが気になる方はなかなか鋭いですね。ですが心配ご無用です。
カード会社はそもそも加盟店(カード払いを利用された店舗)からも手数料を取っているので、私たちのような消費者から回収しなくてもそれなりに収益が上がる仕組みになっているんですね。
3回以上の分割払い
分割払いは支払回数に応じて手数料が変わり、実質年利12~15%程度になります。
全ての支払回数ごとの手数料を記載すると長くなりますので、ここでは「6回、12回、24回、36回」のよく使用される4パターンのみの支払総額を掲載いたします。
参考
- 6回:520,400円
- 12回:540,800円
- 24回:581,600円
- 36回:622,400円
手数料は支払回数により2万円から12万円と随分開きがでましたね。借金というものは借りている期間が長ければ長いほど利息が膨らみます。
他の支払い方法や支払金額だとどう変わるのか、興味がある方は公式サイトにシミュレーションがありますのでそちらをご活用くださいね。
リボ払い
リボ払いは実質年利は15%になるので、分割払いの15回払い以上と同じ手数料になります。
「そもそもリボ払いって何なの?」
このように思う方に簡単にご説明しますと、毎月の支払額の上限を一定にする支払方法になります。
分割払いですと元金と手数料を足した金額を指定の支払い回数に応じて分割するイメージになりますが、リボ払いだと「毎月1万円までしか返済しません」と設定してしまえばいくら使おうが毎月の支払いを1万円に固定することが可能です。一見すると魔法のような手段ですよね。
※楽天カードは利用金額に応じて最低支払額が上下します。
仮に100万円の残債がある場合は最低でも1万9千円は支払わなければなりません。
残債が減れば月々の支払額を減らすことが可能です。
50万円の買い物をリボ払いで支払い、毎月の返済を1万円に設定した場合の最終支払金額は659,375円(50回払い)です。
分割だと36回払いが上限でしたが、リボ払いだとそれ以上の分割回数で支払えるわけですね。支払い期間が延びる分、もちろん手数料も上乗せされます。
このリボ払いもシミュレーションが可能なので、もう少し色々検証してみたい方はご活用ください。
リボ払いは下手をすると延々と利息を取られるから最も避けるべき支払方法なんだ。
仮に50万円借りて月々の支払いを最低額(3千円)にした場合は116回払いで79万円くらいの支払いになる。
キャッシング
キャッシングとは自分の信用を担保にクレジットカード会社から現金を借りる方法になります。
このキャッシングというものは「〇〇払い」というものとは多少毛色が変わってきます。
クレジットカードの一般的な利用方法は物を買ってその代金を立て替えてもらうといったイメージになりますが、このキャッシングはATMを利用するのと同じように、純粋に現金を入手することが可能になるんですね。
手数料は年利18%と最も高金利のサービスになります。何故一番高いのかというとキャッシングの場合は加盟店から手数料が取れないのでその分が上乗せされているからです。
キャッシングの返済方法はリボ払いか1回払いの2択です。
50万円借りた場合、1回払いなら507,397円の支払いで済みます。
リボ払いにすると元金の最低返済額は1万円からで、+残高に応じた手数料を支払っていく形になります。
リボ払いを選択して毎月1万円ずつ返済すると支払合計金額は688,604円(50回払い)で前述したショッピング時のリボ払いよりも最終的な支払額が上回ってしまいました。
なぜこのようなことになるかというとショッピング時のリボ払い手数料は15%なのに対して、キャッシングの手数料は18%だからその金利差の分手数料を多く支払うことになるからです。
こちらに関してもシミュレーションが可能ですので、様々なケースを想定しお試しくださいね。
カードの金利は高い?安い?
なるほどね。ボクは50万じゃなくて5万だから、12回の分割払いにするとしたら54,080円支払えばいいんだ。
必要な時に借りられて、一年で4,080円利息を払うだけなら悪くないんじゃない?
このように思う方もいらっしゃることでしょう。確かに、ご自身にそれなりの支払い能力があるのでしたら、金額だけ見たら大したことはないかもしれません。
ですがこのケース、借りているのが500万円だった場合どうでしょうか。
金額を大きくして利率で考えると、このクレジットカードの金利というものはかなり高いんです。
多くの方は経験したことがあるかと思いますが、銀行の預貯金にも年に2回ほど利子が振り込まれますよね。
その金額、いくらでしたか?
メガバンクの普通預金の金利はおおよそ0.001%です。
この預貯金というものを誤解を恐れずに言うと自分のお金を銀行に貸し付けているという状態になります。
リスク事情や縛りなどの諸条件は違えど自分は銀行に対して金利0.001%でお金を貸しているのに対し、カード会社から借りるときは12~18%取られているというのは、なんだか腑に落ちなくないですかね?
うっ。そう言われると確かに。
これくらいなら払えるって考えだとダメなんだ。
そう。これくらいなら払えるじゃなくて、この利息を払う価値がある買い物なのかを考えるようにした方が良いね。
まぁ高金利でお金を借りてまで買うものって、そんなにない気がするけど。
その他よくあるローン金利について
カード会社の金利が高いことはご理解いただけたことかと思いますが、そのほかの主要な借金の金利ってどの程度なのか、気になりませんか?
せっかくですので、多くの方が利用する(している)可能性が高いローンの金利について、少しばかりご紹介しておきます。
ローン金利は借りる場所や人によって金利が上下する性質があります。あくまで目安となるよう参考値(2021年度)を出しておりますので多少の違いはご承知おきください。
ちなみに私たちが安全に行える投資で受け取れる金利は、長期でならすと5~6%程度と言われているよ。
自分がリスクを取って貸す側に回った時に受け取れる金利から、支払っても良い金利を考えてみると良いかもね。
第二種奨学金
え、奨学金って借金なの?
そもそもこのように思う方もいらっしゃるかもしれませんが、お金をいったん借りてあとで返すものは全て借金として認識する癖をつけた方が良いでしょう。
金利について
- 固定金利:0.15%~0.25%(払い終わるまで利率は固定)
- 変動金利:0.002%~0.01%(5年ごとに利率が変更)
借金の中には借りた時に支払い終わるまでの金利を固定にして先々の支払いを予測することが可能な固定金利と、ある程度区切られた期間ごとの金利の増減に応じて利率が変動する変動金利という2種類の選択肢から金利を選ぶことができるものがあります。
「え、こんなに利率が違って誰が固定金利選ぶの?」
このような疑問を持たれた方もいらっしゃるかもしれませんが、変動金利だと支払っている最中に金利が上昇してしまった場合、大きい金額を借りている方だと支払金額が大幅に増えてしまうため、家計が苦しくなってしまう可能性があるんですね。
固定金利の場合何が起ころうと支払う金額は一定になるので、将来の家計支出が把握しやすくある意味トラブルにも強いと言えます。
もっとも、ここ十数年間日本は長いこと低金利状態なので、変動金利を選んだ結果支払いがかなりきつくなる状況にはなり辛くはなっていますけれど。
さて話を戻してこの奨学金なのですが、圧倒的に低金利です。
奨学金自体が営利目的ではなく、勉学に励みたいという学生の気持ちを応援するようなものなので、金利自体がかなり低いんですね。
奨学金は金利が凄く低いからまとまったお金が手元にあったとしても急いで返す必要がない借金とも言える。
ちょっと上級者向けの話なんだけど、まとめて奨学金を返す資金力があるならその分を投資にまわすのもありだね。
住宅ローン
金利について
- 固定金利:0.9%~
- 変動金利:0.5%~
家を購入する際、多くの方は住宅ローンを組むことになるかと思います。
こちらも固定金利と変動金利が選べるのですが、やはり変動金利の方が安いというのが常となります。(※厳密にいうともっと色々な方法がありますがあくまで参考のため割愛)
ただし住宅ローンのような多額の借り入れをする際は、前述したように変動金利によって金利上昇した時のダメージが大きくなります。
住宅ローンは数千万円のローンを組むケースが多く、金利が上昇すると月々の支払いが簡単に1万円以上増えてしまう可能性があるため要注意ですね。
なおこの住宅ローンに関しても比較的金利は低い方です。
住宅取得のハードルを下げないと、今の時代はなかなか購入しようという気にはなりませんからね。
ちなみに住宅ローンは2022年いっぱいの申請分まで「13年間は住宅ローンの金利を支払っている分税金を安くしてくれる」みたいな優遇措置を取ってくれるよ。
住宅ローン控除ってやつだね。
カーローン
金利について
- ディーラーローン:5~8%前後
- 銀行系カーローン:1~2%前後
車を購入する際に、一括払いではなくカーローンを組んで購入するという方もいらっしゃることでしょう。
カーローンは車を買うときにそのまま車屋さんで手続き可能、しかも借りるのも簡単なディーラーローンと銀行による厳しめの審査を通過したうえで安い金利で借りられる銀行系カーローンの2種類の選択肢が主流ですね。
ディーラーローンは簡単に借りることができる=支払えなくなるかもしれない人も借りてしまう可能性が高くなるため金利が高いです。
ここまで読んでお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、貸す側のリスク度合いに応じて金利は上下する仕組みになっているんですね。
ちなみに銀行系カーローンは固定金利と変動金利があり、やはり変動金利の方が1%程度安くなる傾向があります。
カーローンの金利は高額な部類になりますので、なるべく避けるべき借金になります。
奨学金や住宅ローンの借り入れは致し方ない部分があるから低金利だけど、カーローンの場合は贅沢費になるケースが多いから金利が高めなんだよね。
よっぽどこだわりがない限りはキャッシュで買える車を買うか、使っても銀行系のカーローンかな。
まとめ:高金利は避ける癖をつけよう
いかがでしたでしょうか?
金利についての基礎知識を理解し、お金の仕組みを知るきっかけになってくれていると嬉しいです。
分割払いやリボ払いは、時にあなた自身を助けてくれる支払い手段になるのかもしれませんが、その手数料は高額になることも理解しておく必要があります。
正直なところ余程のトラブルに巻き込まれでもしない限りは分割やリボ払い、キャッシングといった選択肢がチラつく時点でカードの使い過ぎだと言っても過言ではありません。
これは今お金が足りないからと安易に借金をして、未来の自分に支払いを押し付けている状態になります。
この先送りが常態化してしまうと毎月カードの支払いをするために収支をこねくり回す生活を送る羽目になりとてもじゃないけれど恋愛どころではなくなってしまいます。
カードの支払いは基本的には1回払いくらいの気持ちで、自分の欲望に上手く優先順位をつけながら利用するようにしましょうね。
今月ちょっとしんどいけど、無駄遣いを減らして一括で支払うようにします!
それが良いね。
金利の高さも問題なんだけど、そもそも支払いを分割しすぎるとお金の流れが複雑化しすぎちゃって家計管理が大変になってくるんだ。
「あれ、なんでこんなに支払いあるの?」ってならないように注意しようか。